用語解説集
フェティシズム
フェティシズム(英語:Fetishism)は、人類学・宗教学では呪物崇拝、経済学では物神崇拝と訳されますが、心理学では性的倒錯の一つのあり方で、物品や生き物、人体の一部などに性的に引き寄せられ、性的魅惑を感じるものを言います。 ジークムント・フロイトが、生命のない物品や人間の特定の身体部位などを愛情の対象とする、ある種の性的倒錯の形態を説明するため、この概念を流用しました。極端な場合は、性的倒錯や変態性欲の範疇に入ります。 現代の日本でフェティシズムという場合、上記のうち心理学的な意味における「性的フェティシズム」を指すことが多いようです。本来、精神医学ではかなり深いこだわりを指すものであるが、省略形・俗語でフェチとも言われ、単なる性的嗜好の意味で使われている場合がほとんどです。また、フェティシズムを向ける対象をフェティッシュ(fetish)、フェティシズムの志向を持つ人をフェティシスト(fetishist)といいます。 精神医学的なフェティシズム
精神医学でいうフェティシズムは変態性欲、性的倒錯とされており現代日本で用いられる軽い趣味ではなく、性的対象の歪曲を指しています。診断は訓練をつんだ専門家によって行なわなければなりませんが、アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計の手引きにはフェティシズムの診断ガイドラインが設けられています。 それによれば、
また、物以外の状況・行動などへの偏愛はおおまかにパラフィリアと呼ばれます。 フェティシズムの誤用
胸の大きな女性が好きだから自分はおっぱいフェチだなどと自称する人は多いですが、これらは上記の基準に照らし合わせればフェティシズムには分類されません。彼らの性欲の対象は胸の大きな女性との交際・性行為でありますので、胸が大きい女性との性行為しかままならない、というほどの性的対象の歪曲が持続して初めて性的フェティシズムと言えるでしょう。俗語としてのフェチは、交際・性行為がメインであり、それを彩るための副菜・添え物としての趣味を指すため、専門用語としてのフェティシズムとはかなり乖離した意味であることの認識が必要です。 かつては隠微なものであった特殊な嗜好も、近年ではフェチという言葉が一般化し、脇フェチ、尻フェチ、二の腕フェチなど一層細分化され、パーツへのこだわりという現象が顕著になってきています。また、近年ではめがねフェチ、鎖骨フェチ、声フェチ、腹筋フェチなどといった言葉で語られる女性の男性に対するパーツ化された嗜好が一般に語られるようになってきているようです。ただこれらは俗称であり誤用です。 現在ではこちらの俗称の方が広まったため、本来の意味でのフェティシストの人がこちらのタイプの人と誤認されることも多く、異性ではなくて同性に関連する物に対して性的興奮を覚える人、男性でありながらフェチ画像をWebサイトなどで公開している人などが同性愛者であると誤解されること、或いは曲解される事も少なくありません。 一部には本物の同性愛者も存在する物の、あくまで同性ではなく、それに関連する物が対象であるため、これらのフェティシストの人が全て同性愛者である訳ではありません。 鑑賞・実践について
フェティシストには大きく分けて 鑑賞派 と 実践派 の2種類が存在しており、それぞれが独立した別の性嗜好として存在しています。
また、この両者はその性質上、同一の名前であっても全く異なる性嗜好であるために、しばし反目することも多く混同が問題となることもあるようです。
鑑賞派
性対象の人・物を鑑賞することで性的欲求を満足させる人のことです。以下に具体的な特徴を記します。
実践派
自分自身で、あるいは自分自身が(本来の意味での)フェチ対象となる物を用いて、性的欲求を満足させる人のことです。
但し人によっては、水着が異性用の物であれば、本来着ているべき異性を自分に置き換えただけであったり、使用済みの物を着ることで、前に着ていた異性のことを想像する人もいるため、一概には言うことはできません。男性に限らず、たとえばぶかぶかな男のワイシャツを着ることにフェティシズムを感じる女性もいたりします。 性差
日本では、男性のフェティシズムが変態性欲の一つとみなされることが多い一方、女性のフェティシズムはさほど論じられていません。そのことを男性のフェティシズムは市民権を得ているが、女性のそれは認知されていないことの性差であると指摘する意見もあるようです。精神医学的な立場から言えばフェティシズム傾向が認められる患者は圧倒的に男性が多いとされています。
様々なフェティシズム・パラフィリア
おおまかに言って、物に対する執着はフェティシズム、状態に対する執着はパラフィリアと分類できるでしょう。
女性の足・脚に対する偏愛
服装・外見への偏愛
素材・道具への偏愛
状態への偏愛
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